【LADYLIKE】技術の習得

ジャケットに袖をつけています。

袖はおおまかに見ると筒型をしていますが、
肩のところは丸みを帯びています。
球面の一部のような形をしています。
でも布は平面です。
平面から球面は、本来なら作れません。

布はたて糸とよこ糸が交差してできているので、
その交差角度を変える、
それはアイロンの熱と蒸気を使うのですが、
そのようにして布目を歪ませることによって、
曲面を作ることができます。

しかし肩のような強い丸みは
布目を歪ませるだけでは作ることができません。
そこで「いせこみ」という操作をします。

「いせこみ」というのは、
縫い合わせる2本の線のうち、どちらか一方を
縫い縮める操作のことを言います。
縫い合わせる線は同じ長さでないと
縫い合わせられませんが、
曲面を作るには表面積を多く必要とします。

底面が円である半球を考えてみてください。
底面の円周と半球の境界線である円周は
共有されているのでもちろん同じ長さです。
でも底面の円の面積より、
半球面の表面積の方が大きいですよね?
「曲面を作るには表面積を多く必要とする」
というのは、そういうことです。

「いせこみ」は学校では
縫代に細かい並縫いを施して
細かいギャザーを寄せる
と習います。
縫代にはギャザーが寄るけれど、
縫い合わせる線と
服として外から見えるところには
ギャザーが寄らないようにするのが
ポイントです。
実は私は袖付けが得意で、
やり直すことなく
ギャザーが表から見えないように
つけることができます。

しかし、今習っているジャケット教室では
並縫いによるいせこみはしません。
袖側は、ピン打ちだけで留めていきます。
「その方がどこにどのくらい
いせを入れたかわかりやすいから」
とのこと。
これはなれない私にとっては難しかったですよ。

そして、身頃の袖ぐり線には、
縫代のところに返し縫い
(針は右から左に布をすくっていくけれど
縫い進める方向は逆に左から右)
をしていきます。

この返し縫いを身頃の左右の袖ぐりの
前と後ろ、計4カ所に施します。
4カ所目でやっと背中に曲面ができました。
そこでやっと、この返し縫いによるいせこみが
どういう操作なのか、腑に落ちました。
コツがわかってくると
再現できるようになります。
だから他の3カ所もやり直しました。

初めてできた時は
試行錯誤の末に偶然できた!
という感じだったけれど、
そのおかげでどうすれば
再現できるかがわかり(=コツ)
何度でも再現できるようになる、
これが「技術を習得した」
ということなんだとわかりました。

ジャケット教室で、先生は
技術的なことだけでなく、
仕事論もお話しなさいます。
今日は
「経験しないとわからない」
「やり方がわからないから難しい」
「方法がわかれば、そのうちわかる時がくる」
とおっしゃっていました。
「方法がわかれば、そのうちわかる時がくる」
というのは、今回のように
方法を教わっていれば、
なかなか教わった通りにできなくても
うまくいくはずだからと
(現にできている人がいるから)
試行錯誤を繰り返すことができる。
そのことによって
最初は偶然だったかもしれないけれど
そのうち再現性を高くすることができる。
そのポイントを言葉で説明したり
手が作り出したりできるようになった時が
わかった時、ということなんだなと、
自分の経験に引き寄せて聞くことができました。
LL2016-02-06いせこみ