されど服、侮るなかれ

昨日参加したメンズファッションのセミナーで、
気になったことのひとつに、
衣服システムの誕生がありました。
ルイ14世の悪政の結果、
ペストの大流行、大火の発生、
と良くないことが続いたパリを立て直すために
きらびやかな衣装をやめ、
ジャケットに中にシャツを着て、
スボンを履いて、というように
着るべき衣服が決められた、というのです。
ファッションは表面的で浮ついたもの
というイメージもあるかと思いますが、
為政者が衣服の持つ力の大きさに気づいており、
それを政治の場面の問題解決に使った
ということに驚きました。

衣服システムを実行したことによる効果として
予測されるのは、
1.内的動機の生成
「この服を着たから仕事をする」
というやる気スイッチになったでしょうし、
豪華絢爛から質実剛健への切り替えが
各人の気分にも影響したでしょう。
2.強制力
自分だけでなくみんなが
質素な服を着ているので
質実剛健の雰囲気を行動に移す
衆人環視の力になったでしょうし、
ワイングラスを持ち上げられさえすれば
よかった前の衣服に比べて
簡素になった分機能的にもなり、
自分が働かない理由を服の機能性に
なすりつけることができなくなったでしょう。
3.経済
衣装にお金がかからなくなったので
浮いた分を街の立て直しに使えたでしょうし、
「この服を着なさい」という命令に
従わなくてはならないので、
生産量と販売量が増えたことで
衣服産業に携わっていた人たちは
潤ったのではないでしょうか。
労働者はいつの時代も
働いていたでしょうけれど、
経営者クラスも遊んでいる暇は
なくなったでしょう。
そうするとパーティーが
その前の時代よりも機能しなくなって、
その浮いた時間も街の再建に
使えたかもしれません。

私は時間と脳のエネルギーを振り向けるために
日々の着る服を決めてしまいました。
実際は何を着るかを決めるときに
自分なりにおしゃれをしているつもりでは
ありますが、
それは「ファッションは浮ついたもの。
だから仕事をするためにファッションを捨てる。」
というような考えが背景にあるように思います。
しかし現代では、服に気を遣えることは
自分を管理できることの証明になっていますよね。
これらは「仕事で結果を出す」
という目標に向かって
正反対のアプローチになっていて、
これは1つのことを極めたいのか、
総合的にいろいろできるようになりたいのか、
といった違いであるように思えます。
しかし、見た目の重要性に
多くの人が気づいている今となっては、
仕事さえできれば見た目が冴えなくても良い、
とは言っていられませんね。